日本英語教育史年表
昭和(40年代〜)
昭和40年(1965)
(この年)39年からこの年にかけて早期英語教育が注目を集めました
(この年)★大学 (4年制・短大) 学生数が100万人を突破しました
(72%が私大生)
昭和41年(1966)
(2月)『英語語法大事典』(石橋幸太郎編, 大修館書店)
(8月)A.N.
Chomsky来日 (変形文法への関心が高まりました)
(この年)LL設置校が全国で469校に達しました
昭和42年(1967)
(4月)『高校基本英単語活用集』(全英連, 研究社。全国の高校教師が英語教育の効果的指導を行うために編集しました。56年1月に改訂新版)
(4月)『言語教育学叢書 第1期』(全6巻。西尾実・石橋幸太郎監修, 文化評論出版。年内に完結)
(9月)『英語の授業改造』(大沢俊成・駒林邦男・佐々木達夫・福士俊朗,
明治図書。 変形支法理論に基づく英語授業の改造を述べています。続編は翌年刊行)
昭和43年(1968)
(4月)『受験の英語』創刊 (笹部邦雄主筆, 聖文社)
(9月)『英語教育学への提案』(鳥居次好編, 開隆堂)
(10月)『英語科視聴覚教育ハンドブック』(田崎清忠編, 大修館書店)
(この年)★大学闘争 (全共闘運動) が全国に広まりました
昭和44年(1969)
(1月)日本英語教育学会創立
(2月)『百年目の英語教師たち』(佐々木達夫, 明治図書)
(4月)「中学校学習指導要領」告示 (昭和47年度より全面実施。学習活動を言語活動に改め,運用能力の向上を目指しました)
(12月)『講座・英語教授法』(全12巻。
研究社。 46年完結)
(この年)鳥居次好ほか『変形文法の英語教育への応用』明治図書
(この年)J.B. Carroll来日 (英語教育と心理学の関連が注目されるようになりました)
昭和45年(1970)
(3月)★日本万国博覧会開催 (9月までに6,500万人が入場しました)
(10月)「高等学校学習指導要領」告示 (昭和48年4月入学生より学年進行で実施。外国語は必修から再び選択科目になりました)
(11月)中国地区英語教育学会創立
昭和46年(1971)
(3月)The English Journal 創刊
(王身代晴樹主筆, アルク)
(6月)★沖縄返還協定調印 (翌年5月, 施政権が返還され, 沖縄県が発足しました)
(7月)中部地区英語教育学会創立
昭和47年(1972)
(8月)九州英語教育学会創立
(10月)『講座・英語教育工学』(全6巻。小川芳男・波多野完治監修, 研究社, 50年完結)
(11月)日本英語教育改善懇談会発足
(この年)中学校英語教科書,
5社5種となりました
昭和48年(1973)
(8月)『英語教育ライブラリー』(全10巻。開隆堂。52年完結)
(10月)『小学館ランダムハウス英和大辞典』刊行開始 (全4巻。翌年完結)
(この年)★石油ショックによる狂乱物価に見舞われました
昭和49年(1974)
(1月)『なんで英語やるの?』(中津燎子, 午夢館。
日本の英語教育を根こそぎ告発したと評価されています)
(4月)参議院議員平泉渉, 「外国語教育の現状と改革の方向――一つの試案――」を発表 (現在の英語教育の成果は全くあがっていない, 英語教育は国民の5%が実際的能力をもてばよいという理論で, 大きな反響を呼びました。これに対して渡部昇一「亡国の "英語教育改革試案"」(『諸君!』4月号, 文藝春秋)などの反論が行われました。平泉・渡部の論争をまとめたものが翌年『英語教育大論争』(文藝春秋)として出されました)
(7月)『英語教育年鑑』創刊 (語学教育研究所編,
開拓社, 58年休刊)
(11月)「英語教育改善調査研究者会議」発足(座長・小川芳男)
(この年)★高校進学率が90%を突破しました
昭和50年(1975)
(3月)『英語科教育の研究』(鳥居次好・片山嘉雄・遠藤栄一編,
大修館書店)
(8月)全国英語教育学会第1回大会開催
(11月)日本英語教育改善懇談会,「英語教育の改善に関するアピール」を発表
(学習指導要領の改訂にあたり文部省に対して行ったものです)
(11月)『日本の英語教育史』(高梨健吉・大村喜吉編,
大修館書店)
昭和51年(1976)
(4月)『講座 新しい英語教育』(全3巻。中島文雄監修, 大修館書店。年内に完結)
(4月)『英語指導法ハンドブック』(全4巻。大修館書店。58年完結。@導入編, A授業類型編, B指導技術編, C評価編。日々の授業実践に大変参考になります)
(8月)関東甲信越英語教育学会設立
(この年)この年から文部省主催の「英語教育指導者講座」はじまる (筑波で25日間の合宿制)
昭和52年(1977)
(6月)『新言語学から英語教育へ』(佐々木昭・小泉保編,
大修館書店)
(7月)「中学校学習指導要領」告示(昭和56年度より全面実施。英語は1週3時間となりました)
(この年)アメリカからの英語指導主事助手
(MEF) 招致プログラムが始まりました
昭和53年(1978)
(6月)『英語教育論争史』(川澄哲夫編, 大修館書店。
英語教育開始期から現在に至るまでの英語教育の論争資料が収めてあります)
(8月)「高等学校学習指導要領」告示 (昭和57年4月入学牛より学年進行で実施。 英語は英語T・英諾U・英語UA・英語UB・英語UCに再編されました)
(夏)『児童英語教育』創刊
(日本児童英語振興協会)
(9月)『現代の英語教育』(全12巻, 研究社出版。 翌年完結)
(10月)英国人英語指導教員招致事業(BETS)開始
昭和54年(1979)
(1月)★国公立大学入試の共通1次学力試験実施 (受験者32万7,163人)
(5月)『英話教育学研究ハンドブック』(垣田直巳編, 大修館書店)
(6月)『外国語教育の理論と構造』(羽鳥博愛・伊村元道編,
学習研究社)
(10月)『中学校外国語 (英語) 新学習指導要領の指導事例集』(全3巻。
佐々木輝雄他, 明治図書。
聞くこと・話すこと・読むこと・書くことの言語活動の指導について述べています)
(この年)この年より文部省主催の「英語担当教員海外研修事業」
はじまる
昭和55年(1980)
(1月)『英語教育のアイディア』(橘 健,
大修館書店)
(2月)『昭和50年の英語教育』 (若林俊輔編, 大修館書店。 昭和50年間の英語教育を振りかえるのによい本です)
(4月)『英語教育ジャーナル』創刊 (三省堂, 57年9月号で終刊)
(4月)『英語教育史資料』(全5巻, 大村喜吉・高梨健吉・出来成訓編,
東京法令出版)
(6月)『学習者中心の英語教育』(羽鳥博愛・松畑煕一,
大修館書店。 中・高校生へのアンケートを基に, 学習者の立場に立った英語教育への提案が述べてあります)
(7月)『英語教育シリーズ』(全5巻。
中教出版。 翌年完結)
(8月)『新しい英語学習指導』(太田朗他, リーベル出版。
オーラル・アプローチの解説と批判。ELECの教材・教授法研究の成果をまとめたものです)
(9月)『私説英語教育論』(中村敬, 研究社選書)
(11月)日本児童英語教育学会 (JASTEC) 創立
(11月)日本児童英語教育学会 (SELEC) 創立
(この年)★校内暴力事件, 家庭内暴力事件が頻繁に起こりました
昭和56年(1981)
(3月)『英語指導の基本』(池永勝雅・小笠原八重,
桐原書店)
(3月)★『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子, 講談社。 年内に430万部の大ベストセラーになりました)
(4月)中学校で英語授業「週3時間制」が始まりました
(5月)『英語授業過程の改善』(五十嵐二郎, 大修館書店)
(6月)「中学校英語週3時間に反対する会」 結成 (4万人の署名を集めて国会に請願しました)
(6月)★『海外子女教育・帰国子女教育』(小林哲也, 有斐閣。 帰国子女教育の諸間題についての入門書です)
(7月)『生き生きとした英語授業』(上・下。 米山朝二・高橋正夫・佐野正之, 大修館書店。 コミュニカティブ・ティーチング研究会が5年にわたって実践した授業記録が中心です)
(7月)『英語授業にドラマ的手法を』(佐野正之, 大修館書店)
昭和57年(1982)
(2月)『子どもが英語につまずくとき』(天満美智子, 研究社出版。
中・高校生の声を基につまづきの原因を検討し, その解決策を述べています)
(3月)『日本人英語の科学』(竹蓋幸生, 研究社出版)
(4月)『生徒と共に歩む英語教育』(松畑熙一, 大修館書店。
生徒の側に立った英諾教育が提案されています)
(6月)『心理言語学と英語教育』(羽鳥博愛, 大修館書店)
(7月)『英語学と英語教育』(伊藤健三・島岡丘・村田勇三郎,
大修館書店。 「英語学大系」の第12巻)
(11月)『講座 学校英文法の基礎』(全9巻。
荒木一雄監修, 研究社出版, 英語指導上の文法に関する疑問点に応えてくれます。
60年完結)
(この年)英国人英語指導教員招致事業が始まり,
69人が来日しました
昭和58年(1983)
(1月)『これからの英語教師』(若林俊輔, 大修館書店)
(1月)『英語指導の基礎技術』(土屋澄男, 大修館書店)
(4月)『英語基本語彙事典』(上田明子他編, 中教出版。
中学校教科書に現われる基本語を中心こ3,000語を掲げ, 指導上の留意事項などを解説しています)
(5月)「英語教育学モノグラフ・シリーズ」 (垣田直巳監修, 大修館書店。
「早期英語教育」「英語の学習意欲」「英語の誤答分析」「英語のリスニング」「英語のスピーキング」「英語のリーディング」「英語のライティング」「英語の評価論」「英語の授業分析」の9巻からなり, 61年6月完結)
(11月)「英語教育ノウハウ講座」 (全12巻。
開隆堂, 59年9月完結)
(12月)『新しい英語科教育法』(米山朝二・佐野正之,
大修館書店。 具体的な指導手順を応用言語学の新しい成果について述べています)
昭和59年(1984)
(3月)『英語教授法のすべて』 (伊藤嘉一, 大修館英語指導法叢書。
新しい指導法について知るのに便利な本です)
(4月)『英語教育指導ライブラリー』(中村敬・若林俊捕ほか編著,
三省堂。 (1) 戦後の英語教育, (2) 英語教育と文化, (3) 世界の中の英語, (4) 学校英語再考, (5)英語授業学, の5巻)
(5月)『英語教育の理論と授業の構想』(宮田学, 福村出版)
(5月)『英語授業の改善』(河野守夫, 東書TMシリーズ, 東京書籍)
(9月)『うたとリズムでフォニックス――入門期の英語指導』(稲垣明子, 国土社)
(9月)★臨時教育審議会発足 (62年8月まで)
(10月)『日本の英語教育――過去・現在・未来』(語学教育研究所編, 中教出版)
(11月)S. Krashen来日, インプット仮説などからなる「ナチュラル・アプローチ」を提唱
(12月)日本英語教育史研究会発足 (62年5月学会に改組)
昭和60年(1985)
(3月)『中学英語のヒント―週3時間でもこれだけ教えられる』(五島忠久, 杏文堂)
(4月)『実践英語科教育法』(伊藤健三他, リーベル出版。
言語材料・言語活動について詳しく述べてあります)
(5月)『英語教師入門』(奥田夏子, 大修館書店。
著者の経験を土台にした, 若い教師への教師論です)
(5月)『英語授業の言語活動』(正清武司, 三省堂)
(8月)英語授業研究会発足 (松畑熙一会長) (63年8月に学会に改組)
(11月)『英語科教育法読本』(片山嘉雄, 松畑熙一・後田富久子・藤井昭洋編著, 大修館書店)
(12月)『新・英詰科教育の研究』(片山嘉雄・遠藤栄・垣田直巳・佐々木昭編,
大修館書店。50年3月の改訂新版)
昭和61年(1986)
(1月)『教室の英語音声学』(島岡丘, 研究社出版。 Q&A方式による, 入門期に重点を置いた音声指導書です)
(1月)『英語教師のパソコン』(竹蓋幸生, エデュカ)
(4月)『新しい英語科授業の創造』(斎藤栄二・高梨庸雄・森永正治・渡辺時夫,
桐原書店)
(6月)『実践・英語教育大系』(全28巻, 開降堂)
(6月)『英語教師ハンドブック』(中教出版出版部編。 英語教師の入門書です)
(6月)『英語教師の常戦(I)』(伊藤健三・伊村元道編, 大修館書店。 英語学習指導に関する理論と実践について60数項目を設けてわかりやすく解説しています。
(U)は62年6月刊)
(10月)『高等学校外国語 (英語) 科指導事例集――英語教育のDramatic changeを求めて』(佐々木輝雄, 山口書店)
(11月)『教科書中心 昭和英語教育史』(稲村松雄, 開隆堂。
学校現場と直結した, 興味ある英語教育史です)
(この年)★児童生徒のいじめ事件が頻繁に起こりました
昭和62年(1987)
(3月)『中学校・若い英語の先生に』(中西晃編, 黎明書房。
若い教師のための英語教育の入門書です)
(4月)『英語リーディング指導の基本』(高梨庸雄, 高橋正夫, 研究社出版)
(6月)『中学校英語の個別化学習とその実践』(伊村元道・加藤幸次編著,
東書TMシリーズ,東京書籍)
(6月)『言語習得と英語教育』(田中春美・玉崎孫治・大塚達雄・有元将剛・松永降,
ELEC)
(8月)『国際化時代における英語教育――Mombusho English Fellowsの足跡』(和田稔編著, 山口書店)
(9月)『中学英語の指導技術』(名和雄次郎・関典明,
ELEC。 生徒の学習意欲を高めることに視点を当てて, 実践的な技術・工夫を紹介しています)
(この年)「語学指導等を行う外国青年招致事業
(JET)」 (文部省・自治省・外務省共同事業) がはじまり, 813名のAET
(Assistant English Teacher) が招かれ,
ティーム・ティーチングのあり方が議論されました
昭和63年(1988)
(2月)『資料 日本英学史 上 英学ことはじめ』 (川澄哲夫編, 大修館書店。 W.アダムス来日からペリー来航直前までの250年間の英学資料が収めてあります)
(4月)★文部省, 各教育委員会に細かすぎる校則を見直すよう指示しました。
(6月)『基礎能力をつける英語指導』(佐野正之・米山朝二・多田伸二,
大修館書店。 英語の基礎能力とは何かを探りつつ, 言語活動とその手法を具体的に示しています)
(9月)「学校英語教育における外国人講師の役割」 (松村幹男他,『英語教育』9月増刊号, 大修館書店。 AETについての変遷・背景・指導・評価について述べてあるほか, 研究書・論文が100篇以上紹介されています)
(12月)教科書執筆者349人 (うち英語関係者38人) が「教科書への規制強化ではなく, 個性豊かで多様な教科書発行を保障するための制度改善を要望する」要望書を文部省に提出しました
(この年)「新英語教育講座」(全20巻, 三友社)